王朝の陰謀


おまけ リー・ビンビン 画像


王朝の陰謀/判事ディーと人体発火怪奇事件
DETECTIVE DEE AND THE MYSTERY OF THE PHANTOM FLAME ☆
原題『狄仁傑之通天帝國』
 ツイ・ハークには彼なりの世界観と確立した方程式があり、ファンが望むものも十分に理解しているようだ。2000年代に入ってからは大ヒットというほどの作品は残していないものの、「天上の剣」にしても「セブン・ソード」にしても、ツイ・ハークらしさは存分に発揮され、満腹とまではいかなくても腹八分目にファンを楽しませてくれた。  そして、ひさびさにファンに満腹感を与えてくれたのがこの作品。中国版シャーロック・ホームズとも言われる、実在の狄仁傑(ディー・レンチェ)を主人公にした探偵小説の映画化である。原作はドラマ化やアニメ化もされている有名な作品らしいが、この映画を見ると、中国映画がロバート・ダウニー・Jrの「シャーロック・ホームズ」シリーズに匹敵する中国独特の世界観を作り上げたことに感動を禁じ得ない。もっとも、ロバート・ダウニー・Jrの「シャーロック・ホームズ」が大げさに言うほどの傑作かどうかは別にして、「王朝の陰謀」ではタワー・ブリッジでの格闘シーン以上に迫力のある通天仏での格闘シーンや、アクション監督サモ・ハン・キンポーの手腕が光る美しいワイヤーアクションなどが、則天武后の時代にありえないファンタジックな世界で繰り広げられる。  そしてまた俳優陣もかなりシブい。アンディ・ラウはすっかり貫禄がつき、若い頃は嘘っぽかったアクションも堂に入ってきた。さらに事件の鍵を握る重要人物のレオン・カーフェイや則天武后役のカリーナ・ラウも抜群の存在感。アンディの部下を演じるダン・チャオは掘り出し物だったし、作品中のヒロインともいうべき則天武后の側近チンアルを演じたリー・ビンビンも、往年のブリジット・リンを彷彿とさせる凛々しい美しさがあった。  まっとうな推理劇でないことは映画「シャーロック・ホームズ」にも共通するが、ともにスピード感があり、想像を超える展開である点においても両者には相通じるところがあるような気がする。  香港映画ファンのみならず、十二分に楽しめること請け合いの佳作である。 作品データ 監督:ツイ・ハーク 出演:アンディ・ラウ、リー・ビンビン、ダン・チャオ他 製作年:2009年 製作国:中国、香港

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